三重ブランドのレンコンを 新規就農者の挑戦
令和5年、新規就農者の坂津舞樹さんは明和町でレンコンの生産を始めました。元々は山口県のご出身で、お父様が4代目となるレンコン農家生まれ。幼少期から“家業のお手伝い”をしてきたそうで「祖父母も含め、家族総出で作業していました」と懐かしそうに語ります。三重県には6年前に移住されたとのこと。「当初は山口県から京都府福知山市に移住したのですが、冬が寒くて。故郷の山口県のような温暖なところはないのかと探していたところ、農業体験宿泊施設を通じて三重県にたどりつきました」と語ります。
三重県の気候風土はもちろん、温かくて人柄の良い県民気質がとても気に入り「ずっとここで暮らしたいな」と思い始めます。就農前は知人のサービス業を手伝うくらいでしたが、2人目のお子様が小学校に入学するタイミングで「就農するなら今」と感じたそうです。先祖代々のレンコン農家生まれ。幼少期のお手伝い体験。山口県で生産者として従事されている2人のお姉様もレンコン農家。「父も一緒だし、レンコンを三重県で生産してみたいな」と思い始めました。農地を借りるなど様々なノウハウを相談するため、知人の紹介を受けて地元の農業法人を尋ねます。
「本気度を試す」。農業法人の社長からこう告げられたそうです。「半年間うちで働いてみてはどうか。農作業はきついぞ。少しでも弱音を吐いたら協力はしない」。坂津さんは、ここが正念場と農作業に没頭し、社長をはじめ周囲の信頼を得ていきます。認定新規就農者となるため、役場職員やJA多気郡担当者との関わりなど、農業に関する人脈も拡がりました。明和町で7反の農地を借り、令和5年3月に定植。新規就農者としての第一歩を踏み出します。
土壌に竹チップや牛糞を撒くなど生産性を高める工夫は、アドバイスを受けたり自分で調べたり試行錯誤してきたそうです。カモに芽を食べられないよう気を遣ったとも。時折手伝ってくれるお父様もいろいろとアドバイスをしてくれて「昔ながらの職人気質な父ですが、とても感謝しています」。既に収穫も始まっており、大きく育ってくれて本当にうれしいと笑顔で語ります。三重県でレンコンを出荷する農家さんは珍しく、関係各所から注目されているとのこと。マスコミ取材も受けるなど出だしは順調のようです。地元スーパーが取材時に「三重県産レンコン」の表記を一時的に「坂津蓮根」としてくれたことに感激。「涙が出るほど嬉しかった。夢は仲間の生産者を増やして、レンコンが県認定の農畜産物“三重ブランド”の仲間入りをすること」。明るく元気な坂津さんの挑戦はまだ始まったばかりです。
Photo:明和町 坂津舞樹さん 2023.12