日本中にきゅうりを届けたい

きゅうりを生産する農業法人
明和町根倉にある株式会社iBroomは、ハウス3棟3反のきゅうりを生産する農業法人。2020年に就農して今年で6年目となる専務取締役の幸田千勝さん(41)は、農場長も兼務する若きリーダーです。就農前は工場勤務でしたが「自分という個を活かす仕事がしたい」と転職を決意。ハローワークで求人していた同社を見つけ、社長である濱口仁志さんとの面接を経て入社を決めます。未経験でもやる気さえあればOKと言われたものの、社長の指導方法は“入口は示すが自分で考えろ”というスタイル。この教え方が絶妙で「自分に合っていた。感謝しかない」。と語る幸田さん。当初は前職には無い体力仕事に困惑するもすぐに慣れ、きゅうりという“生き物”を扱う面白さに気付いていきます。
独自の栽培システム
iBroomでは養液栽培を採用。井戸水の水質管理や施肥設計によるオリジナル肥料により独自の養液システムを導入されており、きゅうりの栽培に取り入れているのは全国的にも珍しいとのこと。JAを始め、いろいろな方々の協力があって確立したこのシステムは、水の管理がしやすく、病気の拡がりも最小限に抑えられ、そしてなにより、クセや青くさみも少ないきゅうりができるとのこと。幸田さん自身、摘芯栽培も3年を経てようやく自信を持てるようになり、栽培精度が上がるにつれ、自身の成長も感じられるようになり、どっぷりと“きゅうりの世界”にのめり込んでいったそうです。なります。
キッチンカーを運営
「調理師免許を持つ社長はキッチンカーで”iBroomのきゅうり“の広報活動をしています。生のきゅうりを始め、きゅうりのバンバンジーやタコスを販売しながら、当社のファンを増やすことを目指しています」と語る幸田さんは、社長不在時の農場をしっかりと管理。また、若い数名のスタッフ指導を含めて社内での信頼も厚いようです。「私自身も含めて、皆の成長を実感しています。その成長がきゅうりの収量・売上の増加に繋がっています」と嬉しそうに語ります。
将来を見据えて
「iBroomのきゅうりは美味しい」との評価も拡がりを見せ、地元や全国展開している量販店やスーパーから引き合いが続いており、生産も追いつかないため、ハウスの増設も予定しているとのこと。キッチンカーやスーパーの店頭で生産者を紹介している効果もあってか、購入のため、直接農場へ来られる地元のお客様もみえるそうです。「自慢のきゅうりを全国の皆さんに食べて欲しい」と語る幸田さんの挑戦は、まだ始まったばかりです。
Photo:明和町幸田千勝さん2025.07.