松阪牛を育て、継承していく想い

3代目として生まれる
大台町下真手の西村珠樹さん(24)は、畜産農家の3代目となる若き後継者。昭和43年、祖父がこの地に初めて牛舎を建設し、現在は社長である父の直人さんと、母の佳奈子さん、従業員の4名で西村牧場株式会社を経営されています。肥育されている牛は約400頭で、そのうち但馬牛を買い付けした特選松阪牛は、多い時には約20頭が肥育されるなど大台町では一番規模の大きい牧場です。
好きなことをさせてくれた両親
姉と二人姉弟である珠樹さん。両親からは家業を継いで欲しいと明言されることもなく幼少期から中学時代を過ごし、高校は大好きな野球がしたいという志望動機で地元の相可高校生産経済科へ進学し畜産を専攻します。「中学・高校時代は家業を手伝うことは殆どありませんでした。とはいえ、心のどこか片隅に家業を意識していたかもしれません」。高校卒業後は北海道にある酪農学園大学へ。この大学進学が珠樹さんの意識を大きく変える転機となっていきます。
成長できた大学時代
「日本一の牧場を目指す!」「世界で一番美味しい牛肉文化を追求したい」。大学入学後、周囲の同級生たちは熱く高い志を持った若者ばかり。せっかく北海道に住んでいるのだからと、いろいろな牧場を巡る同級生も。大いに刺激を受けた珠樹さんは、心に潜んでいた畜産に対する気持ちの高まりを強烈に感じていきます。大学3年の頃、直人さんが北海道へ仔牛の買い付けに訪れ3回ほど同行し、以降は珠樹さん一人に北海道での買い付けを任せたそうです。そして卒業後、家業の牧場へ戻ることになります。
家業を継承していく想い
「昨年夏を迎える前に送風機を倍に増設。牛たちの猛暑へのストレスが無くなり、肉質が良くなりました。こういった父の知識や経験にはまだまだ学ぶことは多いのですが、卒業後も全国に居る大学時代の友人から得る様々な肥育方法などの情報はとても参考になります。また、北里大学畜産学部を卒業した父と同じ経歴を歩むことで、きっと得るものがあるだろうと進学させてくれた両親には感謝しかありません」。今後の目標は「頭数増加によってやや手狭になった牛舎の拡大と併せて、手伝ってくれる若い従業員の確保が課題かな」。直人さんは「息子の買い付けた松阪牛が間もなく出荷となります。大きく育ってくれて100点の買い付け実績です」と目を細めながら嬉しそうに語ります。JAは珠樹さんのような若き後継者を今後も全力でサポートして参ります。
Photo:大台町 西村珠樹さん 2025.12








